建物管理 最終更新日: 2023年07月08日

東京防災の概要について

『東京防災』というガイドブックをお持ちの方はいるだろうか。『東京防災』は都が平成27年9月より全家庭に配布をしていた防災のガイドブックである。将来起きると言われている大地震などの災害への備えと、災害発生時にとるべき行動の指針となることを目的として作成されている。首都圏に在住の方はもちろん、それ以外の地域でも参考になるガイドブックとなっている。今回はこの『東京防災』に書かれた重要なポイントを紹介することで、防災の大切さと災害への備えについて考えていこうと思う。

大地震の発生直後から避難

まず最初に大震災が発生したときどのような行動をとれば良いのかを確認していこう。

①発生直後

地震発生直後は、最優先で自分の身を守る行動をとろう。家具の下敷きになったり、落下物やガラスの破片で怪我をする危険性があるからである。屋内なら、テーブルやデスクの下に避難するなどの行動をとろう。揺れが収まったら避難の準備をする。火元の確認や出口の確保など、避難が開始できる状況を確保する。もし火災を発見したら、すぐに消火器などで消火しよう。

ポイント

・揺れが収まるまで安全な場所に避難
・火元の確認・出口の確保など避難の準備

②避難の判断

避難のタイミングはとても重要だ。生死のタイミングが分かれる場合もある。積極的に情報を収集し、目と耳で確かめた情報を合わせて、自らが判断をしよう。また、自宅以外で安全が確保できる場所ならば、無理に帰宅せずその場に留まり様子をみよう。地震直後は駅周辺や道路が混雑し、二次災害に巻き込まれる可能性が高まるためである。また、職場や学校などには避難のための備蓄や設備がある可能性があることや、協力者が得られやすいことなどのメリットもある。

ポイント

・情報を収集し、避難の判断をする
・安全が確保できる場所ならば、その場にとどまって様子を見る

③避難後

避難というと避難所での生活が思い浮かぶが、在宅や会社等での避難もある。むしろ、在宅や職場での避難ができない場合に行うのが避難所での避難だとも言える。よって、家庭や職場・学校での備蓄や安全対策というのは、最も基本的で大切なものである。また、避難所での避難となった場合にも、家庭や職場で用意していた備蓄や安全対策は避難所でも大いに活躍する。

ポイント

・家庭や職場・学校での備蓄・安全対策をする

家庭での備え

備蓄というと、どのようなものを想像しているだろうか。これまでの災害用備蓄は、例えば非常食では、とにかく長持ちさせることを目的とした缶入りの保存食だった。そのため美味しさは二の次だった。また、使う機会がなく、いつの間にか消費期限が切れていたという経験をされた人も多いのではないだろうか。最近の災害備蓄の考え方は変わってきている。それは普段の備蓄を非常用に使おうという考え方である。例えば、普段食べる「即席めん」や「乾燥食品」等を切らさないように多めに購入し、備蓄していく。こうすることで、特別に非常食を買うことなく備蓄をつくることができる。これは救急箱や懐中電灯などの避難所での生活用品にも使えるテクニックである。例えば非常食や救急箱や懐中電灯などの非常用の備品をキャンプを行う際に使うというのはどうだろうか。こうすることで避難所でしか使わない非常用品をわざわざ買う必要がなくなる。また、定期的に使うことで非常用品のメンテナンス忘れを防止できる。

ポイント

・非常時にも食べれる食品は多めに購入し、備蓄しておく。
・避難所で使う物は定期的に普段の生活で消費する。

職場での備え

先の避難の項目の中で、家庭だけでなく、職場での備蓄や安全対策が大切だと述べた。では、会社で震災が起こった場合を想定して、どのように備えをしておくべきだろうか。イメージが思い浮かばないという方は、震災後72時間(3日間)分の備蓄と安全対策をするというのを目的にしよう。なぜ72時間分の安全対策と備蓄が必要なのか。一つ目の理由は、人命救助のタイムリミットが72時間と言われているからである。二つ目の理由は、水・電気・ガスなどのライフラインの復旧や支援物資の到着は一般的に72時間程度かかると言われているからである。つまり、3日間(72時間)は自分たちで食料を賄わなければいけない。

次は具体的な対策を考えてみよう。まずは防災マニュアルをつくることである。防災担当を決め、指揮系統を明確にしよう。そして、避難方法や避難場所や連絡網などのルールを作ろう。そして、発災後、建物の利用者が72時間生活できるだけの備蓄や資材を用意しよう、災害を想定した救助・救援活動の際に必要な道具も用意が必要である。

さらに、作成したマニュアル・ルールが実際にできるかどうかを、防災訓練・災害シミュレーション等を行い確認しよう。発災時にあわてないようにするために避難器具や消火器具などを使ってみるのが良い。

ポイント

・72時間分の備蓄と安全対策
・防災マニュアルを作成する
・防災訓練やシミュレーションを行う

まとめ

いかがだっただろうか、今回の内容が皆さんの防災意識向上のための一助となれたら幸いだ。また、ここまで読まれた方は、ぜひ「東京防災」を一読して頂きたい。「東京都防災ホームページ」(下記)にて無料でダウンロードできる。

参考

東京都防災ホームページ「防災ブック「東京防災」」
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/1002147/1007120.html