建物管理 最終更新日: 2023年09月30日

火災の原理

この記事では、燃焼の原理と火災の種類について解説する。

はじめに

火災とは何かという問いに対して、消防統計上は「人の意図に反して発生拡大または放火により発生して消火の必要がある燃焼現象」のうち、消火が必要なものとされている。では、燃焼現象とは何だろうか。また、火災にはどんな種類があるのか。今回はそのような疑問について解説していく。火災が起きる原理や原因について知ってもらうことで、読者の防火活動に役立てていただければ嬉しく思う。

燃焼の原理

燃焼とは簡単にいうと、燃えることである。もう少し詳しく言うと、物質が酸素と結合する際に熱と光が発生する化学反応と言い表すことができる。
では、燃焼はどういった条件で発生するのだろうか。それは「燃焼の3要素」が揃ったときである。燃焼の3要素とは、①可燃物、②酸素、③熱源の3つである。1つ目の要素は、可燃物があることである。紙や木材や燃料などの燃えるものがある状態でないと燃焼は発生しない。2つ目の要素は、酸素があることである。大気中には酸素が含まれているため、燃焼は大気中で発生する。また、酸素が物質の中に含まれている場合もある。例えば、火薬には可燃物の他に酸素が含まれている。故に、残る条件である熱源さえあれば、火薬は水中でも燃えることができる。3つ目の条件は熱源である。酸素がある状態で可燃物に熱を加えると燃焼が発生する。この際必要な温度は可燃物によって変わってくる。例えば新聞紙が発火する温度は290℃程度である。ライターの炎の温度は800℃前後なので、ライターの炎に新聞紙を近づけると新聞紙は燃え始める。
また、燃焼は継続して起きる。可燃物と酸素が残っている状態ならば、燃焼によって発生した熱によって残っている可燃物と酸素が反応し、燃焼が繰り返される。この燃焼の継続性のことを燃焼の4要素目とする場合もある。
燃焼は、可燃物、酸素、熱源、継続性の4つの要素のうち1つを無くせば継続することができない。例えばライターの火は、可燃物であるオイルがなくなると火が消える。また、燃えているものに水をかけると、可燃物が冷やされて火が消える。消火器などの消火設備では、この消火の原理を使って消火を行なっている。

火災の種類

次に火災の種類について解説する。燃焼については、前章で述べた通りであるが、火災は何が燃えているかによって、いくつかの種類に分けられている。 これはなぜかというと、燃えているものによって消火の方法を変える必要があるからである。下記は火災の分類の1つである。

図1 火災の分類例
筆者作成

工場や製造所を除く、一般の建物で多い火災は、(A)普通火災、(B)油火災、(C)電気火災の3つである。これらの消火の際、一般人が使用することが多いのは消火器である。最近は消火器は大手のネット通販でも購入することができる。消火器を選ぶ際に気をつけて頂きたい点は、ABC全ての火災に対応した消火器を選んで欲しいという点である。一般の建物でも車を使用していれば油火災になる危険性はある。電線が切れて火災が起きた際は電気火災に対応した消火器が役に立つだろう。
消火器は既に購入済みであるという方は、定期点検が適切にできているかに注意してほしい。たとえば、経年劣化によって、下部の金属が腐食して中の気体が漏れてしまっていることがある。最も使用されている粉末を使うタイプの消火器は、何年も放置しておくと容器内の粉末が固化してしまう場合がある。定期点検をしっかりして、いざ使おうとした時に使用できないということがないようにしよう。消火器の定期点検については別記事でも紹介している。詳しく知りたい方はそちらも参考にしてほしい。

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消火器概要

また、旧規格の消火器は2021年12月31日までに交換が必要である。下図の旧規格のマークが描いてある消火器を使用している場合は消防法令違反となる可能性がある。必ず交換をしよう。

図2
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/topics/extinguisher.html

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【案内】旧規格の消火器は2021年12月31日までに交換必須

まとめ

火災が発生した際は、①可燃物、②酸素、③熱源、④継続性、のいずれかを取り除けば消火することができる。また、火災は燃えている物によって分類することができ、各分類に対応した消火方法を用いないと危険な場合がある。一般的な建物の防火対策としては、ABC火災すべてに対応できる消火器を用意し、点検を怠らないようにしよう。