消防設備管理業は今でもなくビルマネジメント業務の一種である。しかしながらビルマネジメント業務と一言でいっても非常に広範に及び、正直詳しく知らない業務も少なくはない。消防設備業の競争激化が叫ばれ、そもそも設備点検自体で死亡事故が起こってしまうような、元も子もないご時世であるがゆえに、価値ある設備点検のありようについては常に考えて、実践していく必要があるのだろう。
多々あるビルマネジメント関連業務
消防設備点検は当然の事ながらビルマネジメントの一種である。それを踏まえてビルマネジメントとはどのような業務があるのか、ふと疑問に思ったのでそれを調べてみることにした。さがしてみると見てみると全国ビルメンテナンス協会のサイトに非常にわかりやすい図があったので、それを参考に確認してみたい。中々なじみのある業務も少なくないが、改めてビルマネジメントの業務は広いと思う次第である。特に衝撃的なのは関連する資格の量だ。一体どれほど色々な資格があるのかと驚くあまりである。
正直なところ、知らない資格が多すぎて、ビル管理一つ取って見ても、これくらい資格があるのならば、本当にメンテナンス業務は広いと思わざるを得ない。個人的には、ボイラー技士、ビル設備管理技能士、エネルギー管理士がなんとなしに気にはなったものの、全くと言っていいほど詳しくは存じ上げない。その領域についても調べる必要が出てくるであろう。
消防設備点検と相性の良い業務は何なのか
あらためて、業務回りを見ると「消防用設備」は「設備管理業務」の「運転保守義務」に分類されている。ずばりその通りであろうが、一方で「建物設備の点検調査」は「建物・設備保全義務」の「点検整備業務」である。個人的には同時に実施することも多いこれらの点検がなぜ分かれているのか腑に落ちないのであるが、根拠法令が別であるのがその理由であろうか。また、実務として同時に実施することの多い電気工事業務は、消防用設備と同様に「運転保守義務」の中に列挙されている。この点については、当方でも当該業務に携わる上で、たしかにその通りだと考える次第である。
また、普段の業務と非常につながりの強い業務群がある種「設備管理業」の中にあるので、改めて消防設備点検は「設備管理業」であるということを再認識するに至った。しかし、これを見ると「空気調和設備」が若干意外であった。確かに空調設備等はニアミスしている気もするので関連が強い印象はあったのだが、「ボイラー技師」とはあまり業務で触れることもない。それがゆえに、ボイラー技士には興味が湧くこととなった。
一方で電気工事に関わる内容は今後、エネルギーの管理と非常に密接な業務になるのではないかと考えている。基本的にCO2排出量が国際的な課題となる現況において、電気消費量の詳細な管理は間違いなく重要になるためだ。特にある程度の規模のビル管理においては消費電力量も少なくないのは言うまでもない。ネガワットの存在がよりフォーカスされるようになると、その点も含めて現場の電気工事や電力危機管理と強く密接に関わるようになるのではなかろうか。それがエネルギー管理士的なカラーも関わるようになるのかもしれないと思った理由である。
どのように価値を提供するか
昨今の消防設備業は、価格のダンピング的な側面を強くしつつある。おそらく消火器のような専門性をそこまで擁しないような設備について競争が激化しているためであろう。結果として、非常に雑でいい加減な設備点検が横行する原因にもなっているほか、それが原因で事故が起きるなど、何のための設備点検かわからない状況となっているのではなかろうか。それを鑑みたときに、足元、価格競争にまきこまれない業者がとっている対応がより専門的な設備点検への特化であり、注力であり、24時間対応といえるのではなかろうか。実際24時間サービスへのニーズは高まってきており、それを受け入れることで生き残りを図ろうとする消防設備業者も多い。
しかしながら、このサービスラインナップの増強も限界がこよう。それを鑑みた時に次に来るのは、来るぞ来るぞと言われながら全く来ないデジタライゼーションであり、関連ビルメンテナンス業務との親和性を鑑みた新たな提案になるのかもしれない。正直どのような形になるのか明確な答えはないが、顧客の求めるものにさらに価値を付加して出せるようなサービス提供を考えていく必要があるということであろう。
参考
全国ビルメンテナンス協会 ビルメンWEB
https://www.j-bma.or.jp/