建物管理 最終更新日: 2023年09月30日

火災報知設備の誤作動の原因と対策

火災報知設備は、火災ではなくてもベルが作動する場合がある。原因は、機械の劣化・故障によるもの、人的ミスによるもの、施設内の環境に左右されるものなどがある。普段の心がけで減らせる誤報もあるが、中には専門業者による対応を必要とする誤報も多く存在している。誤報の際はその原因を特定し、適切な対処が必要であることに留意すべきである。

はじめに

火災報知設備は、実際には火災ではないのに地区音響装置(この記事では、ベルという)が鳴ってしまうことがある。このような誤作動はなぜ発生するのだろうか。また、発生しないように気をつけることは何だろうか。今回の記事ではこのような疑問にお答えすることを目的としている。

ベルがなるまでの動作

まず始めに、火災報知設備のベルが鳴るまでの動作を簡単に説明する。火災報知設備の仕組みや、ベルがなった時の対処法について詳しく知りたい方は別の記事でも説明しているので、参考にしてほしい。

火災報知設備概要

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火災のベルが鳴った時の対処方法

通常、火災報知設備のベルは、以下の手順で作動する。

①施設内に設置された感知器が作動する、もしくは発信機が押される
②導線もしくは無線で感知器から受信機に信号が送られる
③受信機が信号を受信する
④受信機から導線もしくは無線でベル(音響装置)に火災信号が送られる
⑤施設内のベル(音響装置)が作動する

誤作動の原因は、①もしくは②であることが多い。 つまり、火災を感知する感知器や感知器から伸びる導線に原因があることが多いと言える。

誤作動の原因と対策

誤作動の原因にはさまざまなものがある。ここでは、a.設備の劣化・故障・不良によるもの、b.人的ミスによるもの、c.施設内の環境に起因するもの、の3つに分けて具体例を挙げる。また、感知器には熱感知器、煙感知器、炎感知器の3種類があり、それぞれ、感知する方法が違う。表中に〇がある項目がそれぞれの感知器を設置している際に起きると考えられる誤作動である。

原因対策例感知器
a.
設備の劣化・故障・不良等
水漏れによる感知器の浸水水漏れ・雨漏りを防ぐ
感知器内部の結露★換気をする、湿気対策をする
感知器の劣化
空気穴が埃で詰まった埃を溜めない
配線ミス
絶縁不良
配線がネズミに齧られたネズミを駆除する
b.
人的ミスなど
いたずらで発信機が押されたいたずら等に注意する
感知器や発信機に物をぶつけた物を接触させない
誤って配線を切った★工事や修理の前に専門の業者に確認する
ライターの炎を近づけた炎を近づけない
タバコの煙タバコの煙を近づけない
紫外線を含むライトを感知器に当てた車のライト等を直接当てない
c.
周施設内の環境に起因するもの
蒸気・殺虫剤の霧などを煙と誤認した感知器に煙・蒸気を当てない
埃を煙と誤認した埃を溜めない
周囲の温度が急激に上昇した★エアコン等の風を直接当てない
周囲の空気や感知器が高温になった
気圧が急激に変化した
【注意】★が付いているものは、専門の業者(消防設備業者など)に相談した方が良い案件

上表の対策の欄を見てもらうと、簡単に行える対策があることにお気づきだろう。特定の箇所においてたびたび誤作動が起きるようならぜひ実施してみてほしい。
台風や大雨の際に誤報が発生し警備会社や消防設備業者が奔走するのは良くあることであるが、あまり頻繁に起こるようなら感知器の設置場所を交換することや建物自体の修理も必要になってくるだろう。
原因が分からない場合は、消防設備業者に点検を依頼するようにしよう。重大な故障だった場合、火災の際に設備が正常に作動しないことも考えられる。また、取り付ける感知器の種類を変えるだけで誤作動がなくなるということもある。設備業者と話し合い検討してみるのも良いだろう。

まとめ

火災が発生していなくても火災報知設備のベルが作動する場合がある。原因は機械の劣化・故障によるもの、人的ミスによるもの、施設内の環境に左右されるものなどがある。原因が分かれば誤作動が起きないように対策できるものも多い。原因が分からない場合は重大な故障の可能性がある。誤作動が起きたときは消防設備業者に復旧後の点検を依頼し、誤作動が少なくなるように対策しよう。