火災報知設備のベルが鳴った時、施設管理をされている方は、まず火災報知設備が感知した場所を把握するべきである。そして、現場確認の結果、火災であれば放送などで館内に情報を周知した後で、避難誘導などを行う。また、火災報知機の作動後は、設備保全の会社に点検や設備の復旧を依頼する。
はじめに
火災報知設備のベルが鳴った場合、皆さんは最初に何をするべきだろうか。一般の施設利用者がまず優先するべきなのは、自らを避難させることだろう。しかし、施設管理をされている方は、避難誘導や消火活動を優先させなければいけない場合がある。今回は、火災のベルが鳴った場合の対応法をお伝えする。
ベルが鳴った後
火災のベルが鳴った際、自動で出火場所を放送するものを除き、ベルだけではどこで火災が発生したかは分からない。施設管理者の方はまずはじめに、火災感知器の作動場所がどこであるかの情報を取得しよう。施設利用者を安全に避難させるために必要だからである。感知器の作動場所は火災報知設備の受信機(以下、受信機という)に表示される。受信機の場所を把握し、すぐにたどり着けるようにしておこう。受信機は事務所や守衛室などに設置されていることが多い。火災報知設備の仕組みについては、以下のリンクで紹介している。参考にして欲しい。
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感知器作動場所の確認
次に、受信機の操作方法について述べる。ボタンやスイッチは受信機のメーカーや型式によって違うが、基本的な操作方法としては、以下の通りである。
手順 | ポイント | |
1 | 主音響(受信機の音響)を停止する | 地区音響(各階のベル)は原則止めない |
2 | 受信機に表示されている、感知器の作動場所を確認す | 火災が明らかな場合や、現場確認後では逃げ遅れる可能性がある場合は、この段階で避難誘導や避難放送を行う |
3 | 作動場所の現場確認をする(可能であれば現場確認は受信機や放送設備の近くで1人待機し、火災の場合はすぐに放送や避難誘導ができるようにする) | 作動場所にたどり着けるように、鍵・ライト・館内図等を持っていくと良い。また、火災の際、初期消火を行うために、経路上にある消火器の位置を確認しておく。 |
4 | 火災かどうか確認が取れない場合は、感知器の作動場所に火の気がないかを確認する |
火災の場合
出火が確認された場合は、直ぐに消防署に連絡しよう。また、周囲に大きな声で呼びかけたり、館内放送をしたりして火災を周知させる。その後は、可能ならば消火活動を行いつつ、避難誘導をしよう。また、初期消火の際には、消火器が大いに役立つ。消火器について知りたい方は、以下で確認しておこう。
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消火器概要
火の気がない場合
感知器の作動場所を確認して火の気がない場合は、感知器や設備の誤作動(誤報)の場合がある。
ただし、原因が分かるまでは安易に大丈夫だと決めつけないようにしよう。特に気をつけなければいけないのが、天井裏と小部屋である。施設によっては、天井裏や、階段したや地下などの小部屋にも感知器が設置されていることがある。普段使わない部屋でも、保管している危険物が自然発火したり、放火されたりということが考えられるため、十分注意しよう。
よくある誤報の原因については、以下の記事で紹介している。
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火災報知設備の誤作動の原因と対策
火の気がなかった場合は、受信機の復旧スイッチを押して、復旧できたことを確認しよう。復旧できない場合や再度ベルが作動する場合は、火災が継続しているか故障している場合がある。また、復旧できた場合でも、原因が解決されなければ再発の恐れがあるため、復旧の可否関わらず、必ず消防設備業者に原因調査を依頼しよう。
まとめ
火災報知設備のベルが鳴ったら、まず最初に感知器の作動場所を確認しよう。そして、現場確認を行い、必要であれば放送などで館内に情報を周知した後で、避難誘導などを行うようにしよう。ベルが鳴ってから火災場所にたどり着く時間が早いか遅いかで、初期消火の成功率や避難の可否が大きく左右される。施設内のあらゆる場所に直ぐにたどり着けるよう、日頃から注意しておこう。また、火災報知設備の作動後は設備保全の会社に点検や設備を依頼しよう。