IoT 最終更新日: 2023年09月30日

日本のドローン規制情報〜全国編〜

日本国内でドローンを使用する場合、属する自治体がどこであれ、必ず適用される規制についてまとめる。本記事での規制が日本国内でドローンを使用する上での絶対的な基本ルールである。該当となる規制は「 航空法」、「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」、「電波法」、「使用用途による規制」の4点。主にドローンの諸元性能、使用場所及び用途について規定されたこれらのルールを遵守する必要がある。

航空法(総重量200g以上の機体に適用)

同法で対象条件となるドローンについて規定。具体的には、総重量200g以上の機体が同法の対象条件となる。対象となった場合、規定にあるとおりの条件内でのみドローンを飛行させることができる。

参考

国土交通省『無人航空機の一般的な飛行ルール』
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html#a

1. 以下の場所でドローンを飛行させる場合は、国土交通大臣の許可をとること。

[1]空港等の周辺の上空の空域
[2]150m以上の高さの空域
[3]「人口集中地区」の上空 ※「人口集中地区」の該当地区については、『国土地理院「地理院地図」』を参照

参考

『国土地理院「地理院地図」』
https://maps.gsi.go.jp/#8/35.561926/140.337103/&base=std&ls=std%7Cdid2015%7Ckokuarea&blend=0&disp=111&lcd=kokuarea&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f0&d=m

2. 場所に関わらず、ドローンを飛行させる場合のルール

[1]アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと
[2]飛行前確認を行うこと
[3]航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること
[4]他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと
[5]日中(日出から日没まで)に飛行させること
[6]目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
[7]人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
[8]祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
[9]爆発物など危険物を輸送しないこと
[10]無人航空機から物を投下しないこと

※[5~10]に反する状況で使用する場合は、地方航空局長の承認が必要

※捜索又は救助のための特例について
「事故や災害時に、国や地方公共団体、また、これらの者の依頼を受けた者が捜索又は救助を行うために無人航空機を飛行させる場合については、適用されない。」

なお、総重量200gの数値については規制を強化し100gとなる動きがある(2021年1月1日現在)。

参考

ITmediaNews「国交省、ドローンの規制強化を検討 基準値を200g→100gに引き下げ」
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2012/08/news130.html

重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(通称「小型無人機等禁止法」)

国土交通省管轄。

日本の重要施設の近くでドローンを飛ばしてはならないという法律。ドローンの重量に関わらず適用されるため、航空法の規制対象外でも本法律の規制を受ける点には要注意。

重要施設及びその周囲おおむね300mの周辺地域の上空における小型無人機等の飛行を原則禁止。

参考

警察庁『小型無人機等飛行禁止法関係』
https://www.npa.go.jp/bureau/security/kogatamujinki/index.html

「重要施設」とは

1. 国の重要な施設

  • 国会議事堂等[衆議院議長・参議院議長指定]
  • 内閣総理大臣官邸等[内閣総理大臣指定]
  • 危機管理行政機関[対象危機管理行政機関の長指定]
  • 最高裁判所庁舎[最高裁判所長官指定]
  • 皇居・御所[内閣総理大臣指定]
  • 政党事務所[総務大臣指定]

2. 外国公館等[外務大臣指定]

3. 防衛関係施設

  • 自衛隊施設[防衛大臣指定]
  • 在日米軍施設[防衛大臣指定]

4. 空港[国土交通大臣指定]

対象空港:新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、大阪国際空港、関西国際空港、福岡空港、那覇空港

参考

国土交通省「小型無人機等飛行禁止法に基づき小型無人機等の飛行が禁止される空港の指定」
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk2_000023.html

5. 原子力事業所[国家公安委員会指定]

(例外)下記の場合に限り、小型無人機等の飛行禁止に関する規定は適用されない。

A. 対象施設の管理者又はその同意を得た者による飛行
B. 土地の所有者等が当該土地の上空において行う飛行
C. 土地の所有者の同意を得た者が、同意を得た土地の上空において行う飛行
D. 国又は地方公共団体の業務を実施するために行う飛行

ただし、対象防衛関係施設及び対象空港の敷地又は区域の上空においては、上記B,C,Dの条件を満たしていても、対象施設の管理者の同意が必要である。

電波法

総務省管轄。

無線全般の使用条件について定められた法律である。ドローンで使用する電波の種類によっては総務大臣の許可を受ける必要がある。

参考

総務省「ドローン等に用いられる無線設備について」
https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/drone/

ドローンで使用する周波数帯域によって規制が変化する。大別すると2種。

1. 無線局の免許が不要な帯域

  • 73MHz帯等のラジコン用微弱無線局
  • 920MHz帯
  • 2.4GHz帯(小電力データ通信システム使用)

2. 無線局の免許が必要な帯域

  • 1.2GHz帯(アナログ方式限定)
  • 169MHz帯
  • 2.4GHz帯(無人移動体画像伝送システム)
  • 5.7GHz帯

注意すべきは2.4GHz帯。無線通信の企画によって免許の要不要が変化する。

同法への対処方法

ドローンには、ラジコン用の微弱無線局や小電力データ通信システム(無線LAN等)の一部が主として用いられている。トイラジコンやBluetooth及びwi-fiを活用した通信範囲によるドローンの活用は概ね上記の範囲と考えて間違いない。ラジコン用の微弱無線局は電波法の規制範疇にあらず、同法上は自由である。後者の小電力データ通信システムに該当する場合も免許及び届出の必要はないが、その代わり、それを証明する手段として技適マークのついたドローンを使用しなければならない。

まとめると、個人レベルで使用する場合は、ラジコン用の微弱無線局か、技適マークのついたドローンを購入し使用する場合が殆どとなる。一個人で活用するレベルを超え大量のデータ更新をする場合等は、無線局の免許を取得し、総務省への届出を行うという認識でよい。

用途による規制

ドローンの使用目的によっては、別途規制が設けられており、それを守らなければ使用できないようになっている場合がある。現在日本で設けられているルールは農薬散布に関するもの。

農林水産省

『空中散布を目的とした無人ヘリコプターの飛行 に関する許可・承認の取扱いについて』
https://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/boujyo/attach/pdf/nikyokucho_tsuchi.pdf

『無人ヘリコプターによる農薬の空中散布に係る安全ガイドライン』
https://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/boujyo/attach/pdf/120507_heri_mujin-129.pdf